リアが死んだ。死んでしまった。朝起きたら、まるで眠っているようにケージに横たわっていた。リアはモルモット、7才だった。
我が家では娘がうさぎを飼っていた。活発で好奇心旺盛、ちょっと気位の高いノラは、えさをあげてもそんなに欲しそうなそぶりはみせないで気取っていた。
数年後、息子がモルモットを欲しがった。最初は別々のケージにいたけれど、しばらくして一緒にしてみるとすぐに仲良くなり、ノラの背中に小さいリアがまるでおんぶするように寝るようになった。
去年の夏、ノラが死んだ。11才だった。人間だったら90才位、充分長生きしたけれど、ノラの好きだったにんじんの葉、たんぽぽや赤つめ草を見るたびに悲しくなった。大きなケージの中で、小さなリアが何か頼りなく見えた。リアが寂しくないようにと、生まれたばかりのモルモットが2匹仲間に加わった。ケージも二階建てのデラックスのを造った。夏は庭、冬は家の中といたれりつくせりだった。若い2匹はすばしこいけれど臆病で、リアと対照的だった。リアは人懐こく、3つも腫瘍があったのにもかかわらず、最後の日まで食欲旺盛、小さい身体全体で生きている喜び、幸せを表現しているような、明るい性格だった。
一週間の休暇に発とうとした朝、リアは死んだ。驚いてあわてふためいたり、悲しくて泣いたりして、もう少しで飛行機に乗り遅れるところだった。旅先でもリアが思い出されて毎晩枕をぬらした。たった15cm位の小さな身体で、こんなにも大きな喜びを与えてくれたリア、心の中にぽっかりと大きな穴があいてしまって、私自身驚いている。私ばかりではない。みんなに愛され、みんなに喜びを与えてくれたリア、いなくなってもその悲しみの大きさによって、生命の大切さを改めて考えさせてくれた。
旅先で、子供たちから電話で、リアを庭のノラの墓のとなりに埋めたと聞いた。リア良かったね。またノラの背中におんぶして寝れるね。