十二月の森

師走と聞くと誰もがあわただしさを想像する。でも・・・・・

深閑という言葉がある。これこそこの国の十二月の森にぴったりの表現だ。空気の音さえ聞こえてくるような静けさだ。

降誕節の、ある日曜の午後、友人たちと森へ行った。いつもならもう暗くなる時間なのに、雪の白さがあたりをほんのりと明るくしている。凍りつくような寒さで誰にも行き会わない。この寒さの中、こんな時間に森を散歩する人はいないのだろう。みんな暖かい部屋の中で、家族や友人たちと暖炉を囲んでこの時期特有のお菓子を食べながらおしゃべりしているのだろう。学生時代私はひとりで暮らしていた。十二月は家族がそばにいない寂しさを実感する月だった。今家族にも友人にも恵まれ、このすみきった空気の中、皆でサクサクと音をたて、黙々と歩く。何も言わなくても心が通じ合うという思いが幸せにしてくれる。

冬眠しない動物や鳥はどこにいるのだろうか。家族や友人と一緒にいてほしい。十二月だけは!

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