夜になると、天気予報通り、雪が降ってきた。
暗い庭を窓ガラスを通して覗いてみると、白い雪がつもりだしたのがぼんやりと見える。
明日の朝はきっともう真っ白だろう。
昨日までまるで初春のように暖かい日が続いた。まだ1月末だというのに、デージーも、たんぽぽも、クロッカスも、あたり一面にかわいい花を咲かせ、温かい陽射しを満喫していた。クマンバチもクロッカスの花の中に入り込み、蜜を吸っていた。春まで、まだ数週間あるのに、このまま、冬は終わらないだろうと、心配していた矢先だった。
昨夜の心配通り、今朝は一面白い世界だった。
庭の、針葉樹の大木で、リスが、慌てて冬支度をしていた。鳥たちも、餌を求めて、バルコニーに集まっている。
我が家の変わった猫は大喜びで外へ駆け出して行った。
ピンクのバラが重そうにその花弁の上に雪をのせている。雪鐘草、デージー、たんぽぽ、クロッカスは雪に埋もれてしまったが、木の下の雪鐘草だけは、まるで肩を寄せ合って雨宿りする人たちのように、静かに息を潜ませて震えている。
鉢植えのカメリアは、屋根に守られ、堂々と大輪を咲かせている。
明日は一体どんな景色を見せてくれるのだろうか。