庭に白樺の大木が数本ある。四十年かかって十メートルほどの大木になった。
三月、まだ雪の残っっている中、雪割草が、そして気の早いクロッカスなどが咲き始める。白樺の枝がなんとなく様相を変える。短枝の先に冬芽が付き始める。
四月には小さな若葉がでてくるが、まだ遠くからは茶色っぽい。長枝の先から尾状に垂れ下がる雄花が若葉よりはるかに大きく茶色いからだ。
やがて、五月には生命感あふれる明るい緑色の若葉で生い茂る。夏にかけて緑がどんどん濃くなり、雌花も白っぽい花穂から緑色の果穂となり、まさに緑が目にしみる。
そして秋。風が吹くと黄金色の葉が蝶のように舞う。陽が照ると葉がキラキラと輝く。もうすぐ全部落ちてしまう。まるでその前に精一杯輝いているかのようだ。この秋、白樺の傍らに息子が温室を建てた。我が家の庭の新しい眺めだ。
今日夏時間が終わり、冬にまた一日近づいた。これから来る長い冬を前に、白樺は、今年もその役目を果たし、種で詰まった雌花の花穂が熟して枝にぶら下がっている。やがて冬になり、葉は落ちても、木は確実に成長し、種を散らし続ける。